原子力産業再生に取り組むアトックス社が思い描く未来と覚悟

最終更新日 2023年9月21日

「福島第一原子力発電所事故」から大きくなった「原発0」の声

日本人にとって決して忘れることのできない日になってしまったのが、三陸沖の太平洋を震源として発生してしまった2011年(平成23年)3月11日の「東北地方太平洋沖地震」です。観測史上最大規模の地震と言われ、地震の規模を表すマグニチュードは9.0をも観測しました。

この大地震による災害を総称したのが「東日本大震災」です。震源地が陸地ではなく、太平洋であったために、大規模の津波が起こってしまいました。各所の港は大津波に飲み込まれ、海岸近くに住んでいた多くの人の住居まで奪ってしまいました。

その被害は甚大であり、本震の揺れと共に、福島第一原子力発電所も大津波が押し寄せました。これらの影響により起こってしまったのが、「福島第一原子力発電所事故」です。

この事故は、私たち日本人のみならず、世界中にその恐ろしさを知らしめてしまいました。これをキッカケに、国内からは「原発0」の声が大きくなり、日本各地の原子力が一旦停止してしまったほどです。

以降、世界でも原子力事業の見直しが叫ばれましたが、実は「原子力」というのは我々人類にとって非常に有効なエネルギーなのです。世界全体の発電手法としては「石炭」が約4割を占めていると言われ、次いで「天然ガス」です。

しかし、これらは有限資源であるのに対して、「再生可能エネルギー」というのは、有限資源を枯渇させないという大きなメリットがあります。これに該当するのが、太陽光や風力などによるエネルギーです。

ただ、これら再生可能エネルギーを全て足しても、石炭にはとどきません。それくらい人類は、現在でも有限資源のエネルギーに頼っているのです。原子力というのは、この有限資源でも、再生可能エネルギーでもどちらでもありません。

エネルギーの燃料となっているのは核燃料です。これを使って、人工的にエネルギーを作り出すので、一見再生可能エネルギーかと思いますが、エネルギー発生後には核廃棄物となってしまいます。

この廃棄物は地中深くに埋められることになり、核のゴミとなるのです。ただし、核廃棄物から更にエネルギーを生み出すという研究も進んでおり、これが実用化されれば大きく原子力産業は改善されます。

アトックスってどんな会社?

東京都港区にある株式会社アトックスは、この原子力産業を再生させるべく、事業展開を行っている民間企業であり、設立されたのは1980年(昭和55年)でした。

ただ、その起源を遡ると、前身である株式会社ビル清掃が設立されたのは1953年(昭和28年)になります。長い歴史を持つアトックス社の事業所は全国の各地に存在しており、確かなネットワークを確立しています。

原子力発電所保守管理をはじめとする関連事業を行っており、原子力を生み出す側ではなく、それを間接的に支えるという役割を果たしています。石油などの資源エネルギーを持つ国家と比べ、日本にはそのような天然資源がありません。

技術力に定評のある日本産業で、国際社会の競争最前線にあるのが「自動車産業」や「インフラ産業」であると言えます。その他の産業というのは軒並み苦しんでおり、世界第2位の経済大国として成長したステージは、同じアジアの中国にその座を明け渡してしまいました。

自然資源として、四方八方を海に囲まれた日本が期待できるものがあります。それが海底の深くに眠ると言われる「メタンハイドレート」です。

アメリカの調査によれば、日本の周りに多くが眠っていると発表しています。ただし、そのメタンハイドレートを抽出する技術や、そこからエネルギーを生み出す技術が完成するまでは、まだ随分な時間がかかると考えられています。

一方で原子力事業と言うのは、資源のない日本にとって、自分たちの力でエネルギーを生み出せる事業であり、世界的にも益々拡大していくエネルギーでした。世界の競争を勝ち抜くための大きな産業になり得たのです。

ところが東日本大震災における影響で、日本の原子力産業推進に「待った」がかかってしまったわけです。

アトックスの行っている事業とは?

現在アトックス社が行っている具体的な事業としては「環境測定」や「放射性物質の除去」、「放射線業務に従事する者に対しての教育」などがあります。これらは原子力産業を推進していく上で必要不可欠な業務であり、企業理念(ミッション)は、「環境とエネルギーの課題解決に寄与し、社会の発展と社員の幸せに貢献する。」です。

もちろん、原発のネガティブもポジティブも総合的に判断して、深いディスカッションが必要です。日本政府も賛成派と反対派に分かれ、イメージ崩壊を恐れて、そのどちらにも付かない政治家も多いです。

トータルして見ると、非常に消極的であると言えます。ただ、東日本大震災を経験したのですから無理はありません。その点、アトックス社は会社の考え方や進むべき方向を明確に公表しています。

インターネットでアトックス社のオフィシャルサイトを閲覧してみると、トップページには次のようなメッセージが表記されています。

「国内外の叡智をたずさえ、原子力産業再生の最前線へ(平成30年10月31日現在)」アトックス社が思い描く未来と覚悟を十分に感じ取れます。

参照サイト・・・アトックス福島復興支社のみなさん |インタビュー|1 FOR ALL JAPAN|廃炉のいま、あした